「よーし今日は砂遊びだ!」
のポケットに砂を詰める遊び?」
「..祐希絶対おれのこと嫌いだよな。よし金髪男子、トンネルをつくるぞ!」

三人で砂を掘って寄せ集め、水で固めながら砂の山を作っていく。
金髪少年が積極的にトンネルを掘っておれたちが外側を固めると、結構いいできばえのトンネルが完成した。

「完成〜!」
「year〜!」
「...」

どちゃ!

「「「!!!」」」

しかし三人でハイタッチして完成を喜んでいると、横から隣のクラスの男子が滑り込んで今しがた喜んだばかりのソレを派手に潰しやがってくれた。
なんだあいつ、ろくに謝りもしないし!夏休み明けたらぶっとばす!絶対だ!
また駆けて行ったそいつにおれは敵意むき出しでガンをつけていると、ちょいちょいと祐希に突かれて黙って立ってる金髪少年を見上げた。

「...」
「...よっし、作り直すか!ってあー!」

おれが手を伸ばす前に彼は無理やり笑顔を貼り付けて、つぶれた砂をさらに足蹴にした。
その行動におれは声をあげていると、祐希が静かに砂をかき集めてまた山を作り出した。
なんだよ、祐希がオトナにみえる。すると少年も脚を降ろしてもう一度穴を掘り始めた。
ただ三人で黙々と作業する。二度目の正直、さっきより良いトンネルが出来上がった!

「どうだ!今回のは三方向からトンネルがあります!」
「すごいですね〜(棒読み)」

俺は大きくヤッターと少年と祐希の手を掴んで空に腕を伸ばした。
オレンジ色の太陽が、いつもより眩しく感じた。

***

「あら、今日も遊びに行くの」
「うん行ってくる!」
「ちゃんと宿題やってるの?夏休みの研究は?」
「...こんど〜」
「こら、!」
「いってきまーす!」

うるさい母さんから逃げるように、おれはサンダルを履いて今日も外に駆け出した。
いいんだよ宿題はあとで!夏休みは遊ぶためにあるんだって!
道端に転がってるセミを飛び越して、おれは公園への道を急いだ。

「祐希ー!」
「遅いよ、
「よー、少年!」
「(イエーイ!)」

いつものようにおれは二人がいる木の下に走りこんだ。
日陰はやっぱり涼しい。そうだ、と俺はおもむろに木に足をかけた。

「今日は、ズバリ木登り!」
みたいなヤセイジは怖いですねー」
「オイコラ、祐希!はやくその少年もつれてこいってば!」

デコボコにうまく足を引っ掛けて、すいすいと登る。
実はおれの二番目の特技だったりして。一番はもちろん走ること!
人が座れそうな太い枝を見つけておれたちは公園を見渡せるところまで登りきった。

「おーい、そこのチビ三人!ビビッてちびんねー内に降りたほうがいいぞー!」
「ハン、そっちこそ六年生の癖にそんな地表でよく満足できるぜ」
「(な、なんだこいつ..いろんな意味で見下されてる..!)」

茶化す上級生を思いっきり下で見ておれは超得意げに台詞を吐いた。
夏の風が気持ち良い。三人で立つと不安定に木が揺れて、思わず太い幹に手をついた。

「(にしし)」
「!あ、今この金髪わざと揺らしたな!」
さんそうみたいですね」
「これは祐希さんやるしかないですな」
「「そーれ!」」

悪戯っぽく笑う少年に、おれたちも調子に乗ってやり返す。
枝と少年がぐらりと大きく揺れた。

「!!、」
「---え」

それは一瞬だった。
二人分の力が加わり予想以上に大きく揺れた枝から、眩しい金髪が見えなくなったのは。
すべり落ちる音と彼が地面に落ちる音がやけに遠くに聞えた。

「...あ、!だ、大丈夫か?!」
「っ...!」
、どうし、よ」
「と、とりあえず救急箱..っ!いや、でもっオトナの人..、」

少年の腰のあたりにできた切り傷はすこし血がにじんでいる。
おれたちは痛そうなその姿に耐え切れなくて、誰かを呼ぼうと走り出した。

「schen gut!(イエーイ!)」
「「....!」」

ふいにぐいと後ろに引っ張られ、振り向けばブイサインを向けてにっこり笑う少年がいた。
祐希と一緒にあっけに取られていると丁度よく五時の音楽が鳴り始め、彼は元気良く手を振って公園を駆け抜けて行った。

「...、」
「..帰ろ、祐希」
「..うん」

---セミが遠くでまた鳴いている。
ちくりとまだ幼い俺の心にとげを残して、麦わら色をかぶった彼と俺らの夏休みはそのまま過ぎていった。

***

「...----ん"〜」
「あ、起きた」
「もうちょっとで昼休み終わりますよ、君」

眩しい太陽に目を細め、は上体を起こした。
既に祐希と要の姿はなく(宿題をやり終えてない祐希を要が連れて行ったらしい)、悠太と春も待ちだったようだ。
は大きく伸びをして、欠伸を一つかみ殺した。

「次授業だるい〜」
「あはは、それにしても君良く寝てましたね」
「ん?あーうん。なんか懐かしい夢見た気がする」
さんは昨日の授業の事も懐かしい出来事だからどこまでのことをさすんですかね」
「さっすが悠太!分かってるね!という事で教室までおぶって!」
「どういうことか関係性見えないんで嫌です」
「ほら、予鈴鳴ってますよ〜!」




--風が誰もいなくなった屋上を吹き抜ける。
幼い日の陽射しに溶けてしまったイメージアルバムは
大きな夏の空が見ていた、小さな一つの物語